203高地

やる気のなさは、誰のせいか

強烈な共感を覚える記事に出会いました。

自己の備忘の為にも、訪れる人への警鐘の為にも、転載します。

明治10年創業の歴史を持ち皇室御用達でもあった

香川県高松市の老舗旅館である旅館川六は、  

バブル崩壊や瀬戸大橋ブームの終焉で倒産寸前となった。  

 

2000年に38歳で5代目社長に就任した宝田圭一氏は、  

強みだった宴会事業や飲食事業なども全て切り捨てて、  

「宿泊」だけに特化のビジネスホテルへの業態転換を決意した。

 

2002年にオープンした「エルステージ高松」は、  

「あいさつ、そうじ、でんわ」を徹底することで  

次第に口コミが広がっていって稼働率が高まり、  

廃業寸前から再建を果たすことができた。  

 

再建手段を見せた川六に、  

熊本県熊本市にあるエクストールイン熊本銀座通の  

リニューアル再建の案件が持ち込まれた。  

 

同ホテルは183室も部屋があるのに、  

ホテルの繁忙期と言われている夏休みのお盆に  

宿泊客がわずか8人しかいなかったことがある、  

というほどのどん底状態であった。  

 

その頃のスタッフの多くは、  

「お盆だからみんな家でゆっくりしているのだろう」  

「わざわざ熊本まで来る人は少なのだろう」  

と楽観的に考えていたが、  

他のホテルはたくさんのお客様で賑わっている。  

 

これ以上下げることができないというところまで  基本料金を下げるなどの手を打ったが、空き室は減らず、  

手詰まりになって、川六との契約に至った。  

 

建物の状態も良く、立地にも恵まれているのに、  

どうして稼働率が上がらなかったのか、  

川六の宝田社長はその原因をある一言から知った。  

 

旧ホテルの頃からのフロント担当の女性が、  

「ホチキスを買っても、いいですか?」  と言ってきた。  

 

このホテルには驚いたことにホチキスがなく、  

彼女がかつて上司に「ホチキスを買いたい」と 頼んでも

「お金がかかるからダメ」と断られたという。  

 

スタッフが「こうしたい」「ああしたい」と提案しても  

ホチキス一つ買ってもらえない環境であり、  

どうせ聞き入れてもらえないならと、  

スタッフもだんだん何も言わなくなっていったのだった。  

 

スタッフたちにやる気がなかったわけではなく、  

彼らの心の中には「こんなことをやってみたい」  

というやる気の種火があったのに、  

トップが彼らのやる気を封じ込め、飼い殺しにしていた。  

 

お盆に8人しかお客様が来なかったのは、  

スタッフのせいではなく、  

現場に声に耳を貸さなかったトップの責任である。  

 

再建にあたった宝田社長は逆に、  

「何でも言ってください」とスタッフに話した。  

 

社長と現場の距離が近くなって、  

スタッフが毎日毎日、  

積極的に改善提案を提出するようになった。  

 

また、宝田社長はエルステージ高松の時のように  

「あいさつ、そうじ、でんわを徹底していきます」、  

「こういうホテルを目指します」  

という方針を明確に打ち出していった。  

 

そのため、旧ホテルからいるスタッフたちは、  

旧ホテル時代と違い自分たちの行き先が明示されたことで  

不安なく改革に取り組めた。  

 

エクストールイン熊本銀座通は、  

かつては平均稼働率が25%まで落ち込んでいたが、  

現場の声を集めてサービス改善を繰り返し、  

「あいさつ、そうじ、でんわ」を徹底した結果、  

半年後には稼働率が80%に急増、  

リニューアル後、わずか1年で黒字化した。    

 

エクストールイン熊本銀座通がリニューアル前、  

建物の状態も良く立地にも恵まれているのに  

どうして稼働率が上がらなかったか、  

その弱体化の理由は、  

・トップが「現場の声を聞かなかった」  

・トップが「方針」を明確にしなかった  

という2つの理由が主にある、  

と川六グループの宝田圭一社長は分析する。    

 

再生前に多くの社員がやる気を失っていたが、  

社員がやる気を失っていたのは、  

トップにやる気がなかったからだ、  

と宝田社長は述べている。  

 

▼出典は、この本です。   

各地のホテル再建を手がける川六の宝田社長の著作。   

経営再建のシンプルな法則が多く載っています。  

・『地域でいちばんピカピカなホテル』(宝田圭一氏著)   https://amazon.co.jp/o/ASIN/B01MUF2I21/winbit-22/   

 

経営状態が思わしくない社長や上司の多くが、  

「社員たちがやる気がないから」  

「部下たちが何も提案してこないから」  

などと、部下のせいにします。  

 

しかし、部下にやる気がないのは、  

本人たちが悪いのではなく、  

やる気にさせることができない上役のせいです。  

 

経営者や上司の仕事は、  

「社員たちがやる気になったらできる」仕事ではなく、  

「社員たちをやる気にさせる」ことそのものなのです。  

 

誰しも、どこかにやる気はあるのです。  

やる気がなければ1日で辞めています。  

上役が「部下たちがやる気を出してくれればなあ」  

などと愚痴を言っている一方で、

部下たちも  「上司がやる気を出してくれればなあ」  

と思っています。  

 

「提案を出せ」「改善案を出せ」と言うくせに、  

改善案を提出しても、それを受け入れるやる気、  

改善しようというやる気が上司になければ、  

誰だってもう出さなくなります。  

 

「ちょっと飲みながら聞かせてくれよ」  

なんて飲みニケーションで誘おうとしても、  

聞いても実行してくれないようなら  

誰だって話したくも一緒に飲みたくもありません。  

 

やる気は、経営者や上司の問題なのです。  

社員たちがどんどん改善案を提案する、  

どんどん改善したいと思ってくれるようになるには、  

経営者や上司がどのような工夫を  

しなければならないでしょうか?

 

 

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